橋梁建設業界が成長するといわれている理由

橋梁建設業界は、橋や高架などを建設・改修することで、人々の豊かな生活を支えています。社会に必要なインフラ整備を通してものづくりにチャレンジできる仕事です。
わが国では、高度経済成長期に橋梁建設の技術が大きく発展し、多様な橋がつくられました。そして今、地球環境の保護や災害対策という観点でもこの業界へのニーズが高まっています。今回の記事では、橋梁建設業界が成長するといわれているという理由を、4つ紹介します。
目次
1. 橋梁建設業界とは?
2. 橋梁建設業界が成長するといわれている4つの理由
①老朽化した橋梁の補修・延命工事の需要拡大
②自然災害への対策が必要
③地球環境へ配慮した持続可能な取り組みの推進
④新たな都市開発ニーズ
3. DXや職場環境の整備も進み、大きく変化する橋梁建設業界
まとめ
1. 橋梁建設業界とは?
橋梁(きょうりょう)とは、河川や道路、渓谷などを渡るための通路となる構造物を指します。橋梁の建設及び補強・改修などを行う業界を、橋梁建設業界と呼んでいます。
日本の橋梁の多くが高度経済成長期に建設され、現在わが国の橋梁数は約73万橋*にものぼります。橋梁は、ヒト・モノの移動を円滑にし、地域の発展に貢献します。山地や川が多い日本では、橋梁は重要なライフラインです。
橋梁には、アーチ橋、ラーメン橋、吊橋、歩道橋など、さまざまな種類があります。地形や条件に応じて複数の工法も確立されており、日本の橋梁建設技術は世界でもトップクラスです。橋梁建設業界は、日本のインフラを支えるという重要な役割を担っています。
*(出典:国土交通省 道路局「道路メンテナンス年報(2024年8月 )」P61)
2. 橋梁建設業界が成長するといわれている4つの理由
橋梁の建設工事は、高度成長期にあたる1955〜1973年にピークを迎え、1980年以降は減少傾向にあります。しかし、橋梁建設業界はその後も衰退せず、むしろ近年は需要が高まっています。2024年の鉄骨・橋梁建設業界における橋梁・高架構造物工事請負契約額は、前年比0.8%増の1兆9,116億円となりました。
ここからは、橋梁建設業界が成長するといわれている理由を、4つ紹介します。
①老朽化した橋梁の補修・延命工事の需要拡大
橋梁の寿命は、設計や環境条件によって異なるものの、一般的に約50年といわれています。近年は、高度経済成長期に建設された橋梁が次々と建設後50年を迎えており、2024年末時点で約39%となりました。10年後には、約63%の橋梁が建設後50年を経過する見通しです。
これらの老朽化する橋梁の長寿命化を図るために、補修・延命といった保全工事の需要が高まっています。

(出典:国土交通省 道路局「道路メンテナンス年報」2024年8月をもとに作成)
日本に先んじて、1920年代よりインフラ整備が行われたアメリカでは、1980年代に入り、老朽化した橋梁の損傷や崩壊といった事故が多発しました。現在は保全工事が進み、アメリカでの橋梁事故は減少しつつありますが、日本でこのような事故を招かないためにも、定期的・計画的な点検や機能維持が重要なテーマとなっています。橋梁の安全と日本の経済発展を守るために、橋梁建設業界が果たす役割はますます大きくなっているといえるでしょう。
②自然災害への対策が必要
日本はもともと地震や台風が多い国ですが、近年は地震や豪雨、洪水、土砂災害などが頻発し、自然災害の激甚化が進んでいます。自然災害の被害を最小限に抑えるためには、橋梁をはじめとするインフラの強靭化が不可欠です。「災害に強い街づくり」を推進するために、橋梁の保全工事が急務となっています。
橋梁の耐震補強工事は、重要な自然災害対策のひとつです。橋梁の状態に応じて、落橋防止システムの設置や部材の補強、橋脚構造の変更などを行います。橋梁の延命も、耐震補強工事における重要な目的のひとつです。津波や洪水などの影響を軽減するためにも、定期的な点検と適切な対策により、耐久性を維持する必要があります。
③地球環境へ配慮した持続可能な取り組みの推進
SDGsの広がりも受けて、世界的に環境問題への意識が高まるなかで、橋梁建設業界でも環境に配慮した技術や施工方法が編み出されています。
橋梁建設で用いられる鉄骨などの鉄やコンクリートは、リサイクル率が非常に高い素材です。適正に分別・解体することで、高い割合で資源再利用ができます。
ただし橋梁の建設や解体においては、大量の二酸化炭素(CO2)が排出されます。この課題を克服するため、三井住友建設鉄構エンジニアリングでは、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、、国土交通省の「低炭素型建設機械認定制度」、「燃費基準達成建設機械認定制度」により認定された建設機械や、今後開発が期待される電動の建設機械を採用し、使用燃料をGLP燃料(天然ガス由来の軽油代替燃料)へ切り替えるなどの施策に取り組んでいます。
今後は業界全体として、CO2削減に有効な機械や技術の開発が進み、さらに地球環境に配慮した橋梁建設・保全工事が行われていくはずです。
④新たな都市開発ニーズ
橋梁の新設工事は、以前に比べると減少してはいるものの、各地で新たに都市開発が進んでいるため、今後も新設工事がなくなることはないでしょう。
先にも述べた橋梁の自然災害対策では、設計の段階から耐震性能や耐久性を確保することが大事です。三井住友建設鉄構エンジニアリングでは、これまで培ってきた経験や技術力を活かし、ニーズに応じた橋づくりに取り組むことで、多くの自治体から橋梁新設工事の発注を受けています。
機能性とデザイン性の高い橋梁は、まちづくり効果を高め、地域のランドマークとして長く親しまれます。橋梁業界で働く技術者の多くは、「地図に残るものづくり」に惹かれているようです。
3. DXや職場環境の整備も進み、大きく変化する橋梁建設業界
橋梁建設業界では、デジタル技術を駆使した業務改革にも取り組んでいます。三井住友建設鉄構エンジニアリングでも、ICT・新技術推進室を発足させ、AIを活用した技術伝承や3次元計測の実用化をめざしています。
橋梁建設は土木工事の一種であり、昔ながらの体育会系のイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、現在では業界全体で先進的な技術を取り入れる動きが盛んで、積極的に効率化や負担軽減が図られています。
三井住友建設鉄構エンジニアリングでは、残業時間の削減や完全週休二日制(土・日)や各種休暇制度の充実にいち早く取り組み、社員がきやすい労働環境の整備を行ってきました。近年ではDXを積極的に活用し、さらなる残業時間の削減を進めており、ワークライフバランスが実現できる働き方を追求しています
まとめ
2024年の鉄骨・橋梁建設業界における橋梁・高架構造物工事請負契約額は、前年比0.8%*増となりました。橋梁の新設工事は減っているものの、橋梁建設業界は今後も成長する見通しです。
*(出典:国土交通省「建設工事受注動態統計調査(2024年)」)
その理由として、老朽化する橋梁の保全工事の需要が拡大していることや、自然災害対策に向けたメンテナンスといったニーズが挙げられます。近年では地球環境に配慮した素材や施工方法も開発されており、人と環境にやさしい橋づくりも実現しています。
橋梁事業・橋梁保全事業・沿岸事業を行う三井住友建設鉄構エンジニアリングでは、新たな仲間を募集しています。日本のインフラを支えたい方、橋梁に興味のある方からのエントリーをお待ちしています。