実は奥が深い橋梁建設の世界 「橋の種類がこんなにあるって、知ってました?」

みなさんが何気なく通る橋には、実はさまざまな種類があります。桁橋、トラス橋、アーチ橋…技術の発展とともに進化してきた橋は、地域の人々の重要なインフラであるとともに、その壮観な景色で人々を魅了してきました。
今回は、代表的な橋の種類を6つ取り上げ、それぞれの特徴やメリットについて紹介します。強度だけでなく、美しさも兼ね備えた奥深い橋梁の世界に、一歩踏み込んでみてください。
目次
1. 橋梁に種類があるのはなぜ?
2. 橋梁の種類
2-1. 桁橋|最もメジャーでシンプルな形式
2-2. トラス橋|三角形を組み合わせた丈夫な構造
2-3. アーチ橋|弓なりの美しい橋
2-4. ラーメン橋|頑丈で耐震性が高い
2-5. 斜張橋|デザイン性が高く近代的
2-6. 吊り橋|優雅な曲線美
まとめ
1. 橋梁に種類があるのはなぜ?
日本国内には、デザイン性に富んだ興味深い橋がたくさんあります。昔は、橋といえば木や石を使用したシンプルな形状でしたが、近代に入ると鉄やコンクリートといった材料の開発が進み、より大きく・より長い橋が作られるようになりました。
現在、橋を作る際には、「どこに作るのか」「何(誰)が渡るのか」を軸に、建設費や景観との調和、見た目の美しさなどを検討し、最適な形状及び工法を選択します。現地の状況やニーズに応えるためにも、お客様との打ち合わせは非常に重要なプロセスです。
最近では、アルミニウムやFEP(繊維強化プラスチック)などの新素材も使用されるようになりました。より軽量で強度の高い素材や、環境にやさしい塗料の研究開発も進んでおり、同じ種類でもさまざまな特徴を持つ橋が登場しています。
2. 橋梁の種類
橋梁には、さまざまな種類・工法があります。ここでは、橋梁の代表的な種類を紹介します。
2-1. 桁橋|基本的でシンプルな形式
桁橋とは、下部構造(橋台・橋脚)を設置した上に、「桁」(人や車両が通行する部分)を架け渡したシンプルな構造の橋です。橋桁の断面により、I桁・T桁・箱桁などに分類できます。
メリット | デメリット |
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・構造がわかりやすい ・施工が比較的容易 ・工期が短い ・コストを抑えられる ・点検や修理がしやすい | ・スパンを長くすると桁に負担がかかり、たわみが発生しやすい(I桁) ・交通量の多い橋には不向き(I桁) |
桁橋はシンプルな構造であるため、建設や維持管理が容易に行えるのがメリットです。一方で、スパン(橋脚と橋脚の間)を長くすると、強度の保持が難しく、耐久性に欠けてしまうというデメリットがあります。
しかし、箱桁であれば、曲げ・ねじりに強く、スパンの長い橋に耐えることも可能です。I桁が直線橋に適しているのに対し、箱桁は曲線橋にも対応できます。
2-2. トラス橋|三角形を組み合わせた丈夫な構造

トラス橋とは、直線状の部材を三角形に組み合わせた「トラス構造」を採用した橋です。トラス構造は軽くて丈夫なため、タワー、鉄塔、ドームなどの骨組みにも用いられます。トラス構造の部材の組み方によって、ワーレントラス、プラットトラス、ハウトラスなどの種類があります。
メリット | デメリット |
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・軽量強度が高い ・長い橋にも適している ・変形しにくい | ・費用が高くなる可能性がある ・施工に時間がかかる |
四角形や五角形に比べて、三角形は強度が高く、外から押す力に強いとされています。このため、トラス橋はたわみ・曲がりに強く、長い橋の施工方法として適しています。
2-3. アーチ橋|弓なりの美しい橋

アーチ橋は、弓なりのアーチ部(アーチリブ)によって、荷重や自重を支える構造を用いた橋を指します。アーチ部材に圧縮力が作用することで、両端支点には鉛直力に加えて、アーチ部材を押し広げようとする水平力が働きます。
メリット | デメリット |
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・力学的に安定している ・曲げ・たわみに強く、長大橋に適している | ・両端への負荷が強いため、強固な基礎地盤が必要 |
アーチ橋には、固定アーチ橋、2ヒンジアーチ橋、逆ランガーアーチ橋、扁平アーチ橋など多様な種類があり、地盤の強度や周辺の環境に合わせて構造形式を選ぶことができます。
2-4. ラーメン橋|頑丈で耐震性が高い

ラーメン橋とは、下部構造(橋脚・橋台)と上部構造(主桁)が一体化し、剛結合した橋です。ドイツ語で「フレーム」を意味するRahmenに由来し、ラーメン橋と名づけられました。
メリット | デメリット |
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・耐震性・耐風安定性が高い ・支承、伸縮装置などの省略が可能で、コストを抑えられる ・維持管理が容易 | ・構造計算が複雑 ・長大橋の施工例は少ない |
ラーメン橋には、T形、門形、パイ(π)形などの形状があります。耐久性が高いのが特徴で、渓谷や河川などに用いられます。
2-5. 斜張橋|デザイン性が高く近代的

斜張橋は、塔から斜めに張った斜材(ケーブル)で、桁を吊り下げて支える橋です。中小橋梁から長大橋に適用されます。
メリット | デメリット |
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・設計の自由度が高く、デザイン性に富む ・コストを抑えられる ・都市の景観に馴染む ・自重が軽いため長大橋に適している | ・耐風安定性・耐震性については検討が必要 ・ケーブルの劣化に配慮が必要 |
斜張橋はケーブルが長く伸びており、スレンダーで近代的な印象を与えます。ケーブル配置や塔の形状、使用材料などを工夫することで、多様なデザイン設計が可能です。一方で、風の影響を受けやすく、安定性に欠ける点には注意が必要です。
2-6. 吊り橋|優雅な曲線美

吊り橋とは、塔を渡るケーブルから垂らしたハンガーロープで桁を吊り下げる構造の橋です。斜張橋と似ていますが、斜張橋は塔と桁がケーブルで直結しているのに対し、吊り橋はハンガーロープで桁を支えている点が異なります。吊り橋のケーブルは、ハンガーロープの重みによりたわみ、曲線を描きます。
メリット | デメリット |
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・長大橋に適している ・景観に優れている | ・構造が複雑 ・工期が長くなる傾向にある |
吊り橋は長大橋に適しており、主に海峡や渓谷で用いられます。ハンガーロープの吊り方により、単径間吊り橋、2径間2ヒンジ吊り橋、連続吊り橋などの種類に分けられます。
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まとめ
橋は古代から作られており、技術の進歩とともにさまざまな形状・工法が開発されました。橋梁を作る際には、現地の状況やコスト、見た目の美しさなどを検討した上で、最も適切な形状・工法を選択します。
桁橋、トラス橋、アーチ橋、ラーメン橋は、今も多くの場所で採用されている歴史の長い橋です。長大橋に適した斜張橋や吊り橋は、海峡などを跨ぐランドマークシンボルとして、多くの人に愛されています。
ここで取り上げた種類以外にも、鋼コンクリート複合橋梁や浮体式可動橋、歩道橋、ペデストリアンデッキなど、橋梁にはさまざまな種類があり、工法も多様です。
三井住友建設鉄構エンジニアリングのホームページでは、橋梁建設の施工実績を公開していますので、こちらもぜひご覧ください。採用において求める人物像や仕事内容、働き方、キャリア、実際の社員の声については、採用サイトで詳しく紹介しているので、ぜひ併せてご確認ください。